会長挨拶

『波濤』57号 2019年7月発行

「学びて時にこれを習う また説(よろこ)ばしからずや」       会長 佐桒愼二

 平成31年は4月30日で終わり5月1日より新たな年号の「令和」が始まりました。神奈川同窓会も平成2年(1990年)に創立され、平成とともに歩んで、来年は30周年を迎えます。創設時に119人だった会員は現在610人に増加し、全国の同窓会の中でも有数の規模になっています。令和時代も同窓会の皆様と共にしっかりとした歩みを続けて行きたいと願っています。

 ところで今年3月23日にNHKホールで行われました放送大学学位記授与式において、私は同窓会連合会会長として祝辞を述べる機会が与えられました。式場には全国から2,000人あまりの卒業生・修了生が出席され、中にはご家族を同伴される方もおられて、晴れやか雰囲気に包まれていました。私は皆様が放送大学で学ぶことの喜び実感され、また共に学んだ多くの仲間を発見されたことをお祝いし、あわせて幕末の儒学者の佐藤一斎の「言志四録」の言葉を引用して、学び続けることの大切さをお話ししました。「少く(わかく)して学べば即ち壮にして為すことあり、壮にして学べば即ち老いても衰えず、老にして学べば即ち死しても朽ちず」。これはまさしく生涯学習を目的とする放送大学の目指すところです。またこのような貴重な機会を与えてくれた放送大学への感謝の気持ちを忘れず、母校の発展に心を寄せていただきたいとお願いしました。

 放送大学の同窓会員の中には、第一線の活動を終了されて後、放送大学で学んだ方が多くおられます。人生100年時代を迎え、これらの方々にとってこれからの長い人生をどう生きるかが大変重要になって来ました。放送大学で生涯学習を続けることは、佐藤一斎の言葉にあるように、衰えず、朽ちずのために大切な生き方です。またその学びの成果を自分の中に押しとどめることなく、社会に還元することも重要です。同窓会員の中には今までのキャリアや放送大学で学んだ成果を活用して様々な活動をされている人が沢山おられます。地域やサークルでのリーダーや世話役、講演会活動、子供の教育支援などのNPO活動、現役世代へのアドバイスや仕事のサポートなど様々です。論語の言葉にある「学びて時にこれを習う また説(よろこ)ばしからずや」、学んだ成果や身に着けた知識や経験を実践することはなお一層楽しいという事でしょう。高齢の社会的弱者として、社会から保護され、支援されるだけの存在ではなく、何か小さなことでも社会にお役に立てるように実践に心がけることで、社会のへの務めを果たし、生きる楽しさを見つけたいものです。      以上